うちわのルーツについて

今や季節を問わず様々な場面で用いられるようになったうちわ。
さも当たり前のように我々の手元に存在しているこれらのうちわですが、そのルーツは海を越えた先、中国であると言われています。

その変遷については諸説ありますが、縁あって日本に行き着いたうちわは、非常に興味深いことに四国・近畿・関東とそれぞれ独自の進化を遂げ今に至ります。

まずは香川。
主に丸亀市がうちわの産地として広く知られております。
何を隠そう、うちわ工房で取り扱っているうちわも丸亀産。
市内にうちわの製造工場がいくつもあり、夏には街を挙げての繁忙期に突入します。
その品質は名産地だけあってお墨付き。
ポリうちわや竹うちわなど、骨の素材や形状を問わず、なんでも揃っています。

次いで京都。
深い歴史を持つ街ということもあって、南北朝時代に作られたものがその起源となっています。
「京うちわ」の名で親しまれるこのうちわは、骨数が多いことが特徴であり、骨の数が多ければ多い程その加工にも相当な技術力を求められることもあり、高級なうちわとして広く知られています。
涼を求めるだけでなく、美術工芸品としての顔も合わせ持っています。

そして最後にご紹介するのが「房州うちわ」と呼ばれる千葉県の房総半島で作られるうちわです。
元々自然豊かな地域であったこともあり、うちわの材料に適した木材が多く自生しており、特産品としてうちわ骨を各地に卸していたことがルーツと言われています。
元々は部材のみを製造するに留まっていましたが、次第にうちわそのものを作るようになり、現在に至るようです。

我々の身近に当たり前のように存在するうちわ。
こうやって掘り下げてみると非常に興味深く感じてきませんか?