扇子の製造工程に迫ってみました<その5>

扇子の製造工程についてご紹介していたこちらのコーナー。
いよいよツケと呼ばれる最後の仕上げのところまでやってまいりました。

今回は残る工程について一気にご紹介していきたいと思います。

□地吹き

前回、紙の加工の工程で取り上げた中差し。
この中差しで開けられた小さい穴に向かって強く息を吹きかけることでさらに穴を大きく広げる工程のことを地吹きと呼び、紙を骨に取り付けるにあたっての下準備を行います。

□糊付け

紙を骨に取り付ける前に骨に糊付けを行います。
ちなみに弊社で扇子を作成したことがある方はお気付きかもしれませんが、扇子にはほのかに香りがついています。
この時に用いる香料はこの工程で糊に混ぜられます。

□中附け

いよいよ紙を骨に取り付ける工程です。
地吹きで広げた穴に細い骨を一本一本通していく非常に細かい作業ですが、そこはさすが熟練の職人。
恐ろしいスピードで正確に骨を通していきます。

□こなし

組み上がった扇子をなじませるための工程です。
紙と骨を取り付けただけの状態では隙間が空いている場合が多いため、専用の木(拍子木)を用いて叩いていくことによって徐々に馴染ませていきます。

□万力掛け

骨と紙同士がしっかりと馴染んだら万力を用いて圧力をかけます。
これを行うことによって扇子がきれいに閉じるようになります。

□矯め

扇子は両サイドに「親骨」と呼ばれる骨があります(弊社で名入れができる箇所です)。
その親骨を火で炙り、扇子の側面に沿うように曲げ加工を行います。
「ため」と読みます。

□先づめ

曲げ癖を付けた親骨を扇子に取り付けるにあたって余分な部分を切り落とします。

□親あて

組み上がった扇子に親骨を取り付けます。


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これでいよいよ扇子の完成です!
全5回にわたってご紹介してきた扇子の製造工程。
その工程ひとつひとつに職人の魂がこもっています。
うちわ工房の扇子も職人の手による手貼り手加工で製造されており、その温かみのある風合いが特徴です。
ぜひ、お手にとってみてください。