扇子の製造工程に迫ってみました<その2>

うちわ工房において高級感のある贈答品として多くのお客様からご注文をいただいている扇子。
非常に複雑な工程を辿って製造されるその内容についてご紹介しておりますが、工程の多さから前回に引き続きお送りしていきたいと思います。
前回は竹材を扇子の形に削っていく「あてつけ」までをご紹介しましたので、その続きからです。

□白干し

あてつけの工程で削った竹材を敷いた砂利の上で天日干しする工程を「白干し」と呼びます。
この白干しは一度行ったらおしまいというわけではなく、干してややサイズが変わった竹材を、もう一度あてつけの工程にもどってさらに削る、ということを繰り返します。

□磨き

ある程度形が整った竹材を今度は研磨します。
その際に行われるのは扇子に限らず様々な工業製品で行われるバフがけ。
力の入れ方で仕上がりも大きく変わるため、手作業ならではの繊細さが要求されます。

□染色・塗り

きれいに磨かれた竹材は、ここでいよいよ装飾の工程に入ります。
染料で竹材に色を付けるにあたっては、染料を使用したり塗料を塗ったりと、どのような扇子に仕上げるかに応じて使い分けがなされます。
弊社で扱っているスタンダードな扇子の中でいえば「黒竹」「唐木」はこの工程によって色付けが行われます。

□末削

色付けされた竹材はその後、扇子の紙を取り付けるためにさらに削りの工程に進みます。
この工程は「末削(すえすき)」と呼び、その名の通り先端(末)を細く削ることを指しています。
竹材の先端を細く削ることで紙を通すことができるようになるため、少しのズレも許されない職人の腕が試される作業です。

□要打ち

扇子の骨を束ねている金具部分を「要(かなめ)」と呼びます。
この工程では前回ご紹介した目もみ(要のための穴を開ける工程)で開けた穴に金具を打ちます。
様々な工程を経た竹材がここでようやく『扇子の骨』という形に生まれ変わります。
と、ここまで紹介したところでまたしても字数の兼ね合いから次回への持ち越しとなります。
こうやってひとつずつ取り上げてみるとその工程の多さには前回同様、改めて驚かされてしまいます。
次回は紙に関する工程について取り上げていきたいと思います。(続く)